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What's the Japanese beauty you're referring to?

しかしさー、主要紙の官邸キャップって、赤坂飯店で首相にご馳走になるのが
「うれしい、一食儲けた!」っていうくらい薄給なんですか?
首相に招待されたっていうのがプレスティージ?
まさか。例えばメルケルさんに誘われたっていうんならそうだろうけれど。

太平洋のあっちの国は気にくわないことを書くメディアを締め出した。
こっちの国は「気にくわないこと書かないでよ」ってメディアにご馳走する。
どっちもどっちだけど、いやあ、仲良くなるはずだ、あっという間に。

*

将棋連盟の新理事や会長を除く残りの理事5人のうち、
三浦九段冤罪事件での対応の拙さから責任追及されて、3人が解任された。
これは会員棋士の議決によるものだった。
自浄作用がしっかりあったことを慶賀する。

私の将棋離れに一旦終止符を打ってもいいかなとは思っているけれど、
解任反対票もあったんだろうし、そんな棋士の将棋なんてさらさら見たくない。
なにしろ<本丸>が落ちていない。
次を期待して、やっぱり興味がなくなった「人間将棋」との距離は詰めないままに
しようと思う。(LPSAは例外。)

*

「小矢部の浩美」さんから、先日の芥川也寸志氏の「交響三章」についての
コメントをいただいた。浩美さんは東京交響楽団を指揮している沼尻竜典氏の大ファン
ということだった。

「交響三章」ーYouTube上では、東京交響楽団、ロシアの学校オーケストラが2団体、
そしてニュージーランド交響楽団の4つの演奏が載っている。いずれもすばらしい。
もちろん素人は素人なりにだが。

今朝もニュージーランド交響楽団のを第2章から聴いて歩いた。
ほんとうに息を呑むほどすばらしい。

この交響詩が奏でている<こと>こそ「美しい日本」と言うのだ。

あのキテレツな幼稚園については、自分と連れ合いが関与したことなのに、
それを指摘されて国会で気色ばんで、NHKの中継を入れず、予算案が衆議院を通過すれば
主要紙官邸キャップなる人々に豪華な夕飯を振舞う人のどこが「美しい日本」に
つながる態度なのだろうか。

「疑惑でんでんなんてないんですから!」

などと酒を注ぎながらキャップたちにとりなしをしたのか。
それこそ報道の自由にキャップをしたというわけか。

「なんでも首相のいう通り官邸団」が、今日も馴れ合うのか。



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蹉跌集め -19- [小説]

19

「君ねー」

藤熊が光に呼びかけた。

「なかなかいいよ。」

「ありがとうございます!僕、有馬光っていいます。ヴォーカルです。」

「僕は津田芳樹です。ベースです。」

「僕は中島周平です、ドラムスです。」

「僕は大野健介、キーボードです。通称ケンスキーです。」

「私は・・・このバンドのメンバーではありませんけれど、ヴォーカルとギターやって
います、佐藤悠奈です。」

「あらためまして、僕は藤熊克ノ介、音楽プロデューサーです。
一度君たちのライブとか見させてください。」

周平がバンドのネームカードなどを藤熊に差し出しながら、

「今ちょっとギターが入院してまして、活動できない状況なんです」

と言った。

「あらら。」

「ちょっといろいろありまして。」

藤熊は少し深刻そうな声で、

「さっきの光君の歌は、その『いろいろ』から生まれた?もしかして。」

メンバーたちは顔を見合わせた。

「なんかさ、迫真性があったもんな。だから僕は惹かれたんだ。
追求しなよ、あの歌の完成を、バンドで。」

藤熊は愛犬ソルトを地上に戻した。

「悠奈ちゃんは悠奈ちゃんで、よかったらデモを僕に送って。」

「え?ああ・・・はい。」

藤熊はそこで周平と悠奈とメール交換をした。

「じゃあ、今晩はここまでということで。」

藤熊が去っていく。一同は深くお辞儀をした。



「すんげぇ出会いだったな。」

周平が藤熊の後ろ姿が暗闇に紛れていくのを見つつ、独り言のように言った。

「なんだか、導かれてんじゃね。」

ケンスキーが応えた。

「鈴木九郎さん、長者様のお導きよ、少なくとも私にとっては。」

悠奈が言った。

「木野先生の遠いご先祖は紀伊国の人だったに違いない。長者様の出身は紀州よ。
熊野様の神官の家柄なの。長者様のご先祖は源義経を慕って奥州平泉へ行った。
鈴木三郎重家、亀井六郎重清よ。二人とも衣川で討ち死にしたの。
鈴木の奥州との縁は切れなかった。長者様は奥州の黄金を手に入れるのよ。
金の採掘や精錬に熟達した奥州の修験者たちと結びついてね。」

「そんであの娘小笹さんの怖い話がー」

ケンスキーが『トーホグマン』で読んだことを口にした途端、

「大野さん、やめてッ!それはここで言ってはならないの!」

と悠奈が叫んでケンスキーを制した。

「な、なんでぇ?」

ケンスキーは頭を掻いた。

「もう、帰りましょう。木野先生はおいでにならないわ。」

「そりゃまあ、『おいでにな』ったら、それは超常現象だし。」

ケンスキーは皮肉めかして言った。


光は小田急の多摩川に架かる橋の下で別れた。
他の者は和泉多摩川駅へ。

駅のロータリーには、まだ消防車が回転灯をつけたまま駐車していた。
電車は運行を再開したようだった。

芳樹たちは嫌な気分になった。

「いい出会いをさせてもらったのに、なんだかブルーになるよな。」

「人身事故現場にまさに俺たち今行くんだな。」

「胸が痛いよ。」

なぜこんな悲惨な人生の結末を選ぶ人がいるのだろうか。
四人はホームに出て、めいめい合掌した。


<つづく>




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蹉跌集め -18- [小説]

18

「まあ、一度会えたんだし、また会えるかもね。」

藤熊が言った。

「木野先生は、『きの』というくらいですから、ご先祖は紀氏なんでしょうね。」

「お、トーホグマンっぽくなってきたぞ、また。」

ケンスキーがニンマリしながら言った。

「ああ、そうだろうね。僕の家は群馬のある神社の神官家でね。昔から聞いてたんだ
けど、紀氏は武内宿禰の末裔で古代からの超名門らしいね。紀伊国造家はもちろん
有名だ。後年は貫之、友則とかの文人・歌人を輩出する家になったようだね。
群馬じゃお隣の下野、つまり栃木に下野紀党が有名で、益子を名乗った。」

「ハハ、あのU字工事の?」

ケンスキーがカラカラ笑った。

「木野先生はそちらのお生まれなんですか?」

悠奈が訊く。

「いや、確か長州・萩の生まれって聞いたけれど。なにしろ顕本法華宗のお寺の息子さん
だったんだとか。後に広島にご家族は移ったってなんかの著作で読んだなあ。」

「そうですか。紀氏は古代軍人の家でしたよね。」

歴史学徒芳樹が言った。

「その後藤原氏に押されて、文藝の家になっていった。」

「そうだね。」

藤熊が応えた。

「木野先生は、学徒動員で陸軍少尉に任官、すさまじい戦場体験をされたそうだよ。
そして広島ではご家族のほとんどが原爆で命を落とされたんだ。」

「戦争の愚かさを先生ほどに痛感された方もいないでしょうね。」

悠奈がしんみりと言った。


「ところでー」

と藤熊が言った。

「君たちはバンドやってるんだってね。どんな音楽をやっているの?」

「ああ、僕らちょいと野心的で、野心的すぎで・・・」

と周平が言い淀んだ。

「野心的すぎ?」

「ええ、実は、世界を狙っているんです。」

藤熊は高笑いした。先を行きたがってムズムズしている愛犬ミニチュア・ピンシャーを
ひょいと拾い上げて、頭を撫でながら、

「全然野心的でなんかないよ。」

と言った。

「MNEMOもいたバンド、EUROYっていうんだけど、世界のチャートを狙おうって
結成したんだからね。実際バンドがもう少し続いていれば夢は実現できたはずだった。」

「そうだったんですか!」

ケンスキーが興奮して相槌を打った。

「いやあ、あのくらいだったら、夢、実現できてたかもしれませんね。」

「まあ、バンドって色々あるからね。」

藤熊が溜息交じりに言った。

「その『いろいろ』が豊かな音を生み出すんだけれど、その前に対立とかも生んで
しまうんだよ。そこがバンドがgreatになれるかどうかの関門だね。大きな大きな。」

JAPPSのメンバーたちはしんみりしてしまった。

「そして重要なのは、音の豊かさもそうなんだが、バンドとしての歌世界を一致して
生み出そうとする、まあ、言うなれば、叙情性の一致っていうか、モチーフの一致って
いうかね。」

「その通りです! ・・・熊さん・・・でしたっけ。」

光が久しぶりに声を出した。しかもとびきり大きな。

「藤熊でございます。」

藤熊が少し戯けて返事をした。

「すいません、藤熊さんー 本当におっしゃるとおりです!
僕は、JAPPSのこの仲間たちと、世界を狙います。そしてその前の関門を乗り越えます!」

光は、少し前にMNEMOがしたように両手を握りしめ、その拳を左右の腰脇に構えて、
歌い出した。

I know what it means
To be torn at the seams
because of me

So I'm leaving you
Oh, baby, I'm sad

I thought we had it all
Since everything I dreamed was just for you
But you've found someone else
Oh, baby, I'm sad


明らかに光の新曲だった。

芳樹は光に近づいて、その肩に手を置いた。
何も言わなかった。
ケンスキーはピアノのフレーズがもう浮かんだようで、指を動かしている。
周平もすでにハーモニーをどうつけるか考え出した。

悠奈は黙っていた。



<つづく>




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蹉跌集め -17- [小説]

17

一行は光がつい最近まで住んでいたアパート前まで来た。
土手の上、さっきまでいた川崎市多摩区宿河原がすぐ目の前だ。

「そのご老人、この時間じゃ歩いてないかな。」

芳樹が言った。

「私がお会いした時刻が夜の散歩時間なら、まだだわ。」

悠奈が応えた。

「しかし、老人がそんな時間帯に夜散歩するの?」

周平が問うた。

「ね。まるで私を待っていたかのようだったから。」

悠奈が言った。

「あれ?」

ケンスキーが何かに気づいた。

「小田急、さっきからちっとも通らなくね?」

「そう言えば。それになんかサイレンが聞こえてねぇか、さっきから。」

周平が言った。

「人身事故か。」

芳樹が低い声で言った。

「小田急、多いよな。まあ、他の鉄道でだって多いんだろうけれど。」

周平が言った。

「俺よみうりランド前駅利用だからさ。なんだか多いぜ、この頃。
ここのすぐそばの和泉多摩川駅は3日前とかあったばっかじゃないか?隣の狛江駅でも
年末だったかにあったしな。」

「なんでそんな悲しい結末を迎えちまうのかな。」

ケンスキーが呟くように言った。

「みんな世の中のせいだなんて言わないけれど、な。」

芳樹が応えた。

悠奈は川下方向から近づいてくる人影をじっと見ていた。

「来た?」

ケンスキーが訊くと、悠奈は首を振った。

「そっか。トーホグマンみたいに話がうまく進まねぇな。」

「ちょっと、ごめん。」

その人影が声をかけた。

「今、どなたかトーホグマンって言わなかった?」

「あ、はい。」

ケンスキーが答えた。

「言いました。僕です。」

人影が十分に近づいて、細身の初老風の男だと分かった。

「トーホグマンなんてことば知っている人に出会うとは!
いや、僕はあの、その作者のMNEMOの知り合いでね。」

「ええ?ということは、木野先生ですか?」

ケンスキーが尋ねた。

「いやいや。藤熊克ノ介の方。」

「ああ!・・・え、というと、音楽プロデューサーの?」

「そうそう。よく知ってるねー。」

「なにげにファンなんですよ、あのシッチャカメッチャカな物語。」

「そう。で、ごめん、みなさんは狛江の人?」

「いいえ。実はー」

悠奈が手短に経緯を話した。

「そうなんだあ。」

藤熊は驚きながらも、ハハっと笑って言った。

「あいつの周辺はいろんな不思議が起こるからなあ。僕もふだんはこの時間に犬
連れて散歩することはないんだけど、今晩はほんと、たまたまなんだよね。
そっか。そんな話でね。トーホグマンの延長で書けそうなエピソードだね。
いや、もうあいつ、ブログなんかで書いているかも。」

そう言って藤熊はまた笑い、すぐに真面目な顔つきになった。

「きっとね、あなたが会ったっていうご老人は木野先生だと思うよ。」

「そうですか。」

悠奈が頷いて言った。

「うん。僕はMNEMOに紹介されて一度それこそ偶然にここでお会いしただけ
なんだけどね。紹介されたっつっても、MNEMO自身もそこで初めて木野先生に
会ったんだよね。二十数年来木野先生の著作を読んでいて、先生が狛江の多摩川の
ほとりに住んでらっしゃることは知っていて、ずっとお会いしたかったんだって。

その日は彼の友人のKっていう人物が、友人の獣医師とその助手さんとで彼のアパートを
ゲリラで訪ねて、多摩川に出たと。するとここで獣医師さんがヨロヨロ土手から転落し
そうになっているご老人を見つけて瞬時に駆け寄り、助けたんだって。みんなが胸を
撫で下ろしていたら、MNEMOがハッと気づいた。そのご老人こそ木野先生だ、と。」

「ええーッ!」

一同が驚嘆の声を上げた。

「やっぱ、MNEMOさんてなんかあるんですね。」

ケンスキーが言った。

「MNEMOがその運命の出会いをしているとき、僕がこのワンコを連れてたまたま
通りがかったんだよ。MNEMOも感激していたけれど、Kさんがもっと驚いていたなあ。
MNEMO、これは本当にすさまじくお前のこれからの音楽に示唆的なことだって。
そのKさんの友人の獣医師は、MNEMOがデビューした、僕プロデュースのバンドの
ファンの方が愛猫を診てもらう先の先生でね、結局そのバンド活動あっての
ご縁だったんだ。」

一同は黙ってしまった。

ケンスキーは記憶を懸命にたどった。

「確かMNEMOさんの愛猫が、この辺りに埋葬されたんでしたっけ。」

「ああ、そうらしいね。チロって言ったかな。ほら、あの大きなカワヤナギの木が
見えるでしょう?あの辺りだって言っていたな。」

「トーホグマンの記事じゃないけれど、MNEMOさん何度もそのチロちゃんのこと
書いてますよね。確か、確か・・・1986年の10月に埋葬したって。」

「よく知ってるね。僕はそれは知らないけど。」

「午前1時あたり、オリオンが東南の空に出ていたって。そうすると10月初旬なんです。
僕も星も猫も大好きでして。猫って不思議な動物ですからね。

そのチロ、埋葬し終わったら、MNEMOさんの背中に触れて、振り返らせ、
オリオンに視線が行くようにしたっていうんですよね。そしてオリオンへ昇天しますって。
あそこからMNEMOさんとお連れ合いを見守るからって。」

藤熊は咳払いをした。
少し沈黙があった。

「木野先生、おいでになるかな。」

藤熊が言った。

「無理ですかね、お会いするの。」

悠奈が訊いた。

「いや、なにしろ木野先生はとっくに亡くなっていらっしゃるから。三年半前。」

「ええええええええッ!」

男たちは大声を発し、悶絶するほどに驚いた。
悠奈は冷静だった。

「やっぱり。やっぱりそうだったんですね。」


<つづく>





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Assist us!

今朝の「明日へのことば」は花千代さんという花装飾の会社社長の話。
複雑な家庭環境で、13歳あたりで一人暮らしをしたという。
高校を出て1年の会社勤めの後、新橋の藝者さんになり、売れっ子になった。
十年あまり永井荷風や谷崎潤一郎的世界を藝者として追求して、
今度は単身フランスへ行き、フランス流の花装飾に魅せられ修業、
資格もとって帰国、現在の会社を設立したという。

その花千代さんが、人生は一回しかないから、チャンスに逡巡するのは実に
もったいないことであり、そのチャンスから展開する新しい地平、世界を、
楽しんで生きていきましょう、というようなことを言われた。


昨夜のSUBTLYのリハはいつもに増して楽しかった。
スティックにGaragebandを操作してもらいつつ、「本チャン」のfeelを掴んだ。
とりあえず、lead vocal、bass、drumsの基本はほぼ完成。
4月いっぱいをメドに、曲完成を期すことに決めた。

上モノ協力者募集中です。(笑)

あと、コーラス隊も募集だなあ。
老若男女問いませんが、子どもの声も欲しいんですが。

詞は、「生きたかった」と「I wanted to live」で、交互に歌います。
レコーディングは4月30日(日曜)かな。
詳細未定ですが、収録後、打ち上げやりましょう!
ご応募はこの記事コメント欄で。(一切公表しませんのでご安心を。)
ギャラは出ません。
広島、長崎、福島のため、歌いたいという真心と声だけ拝借させてください。

お願いします!




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蹉跌集め -16- [小説]

16

「悠奈はどうしてしら梵字の憑依から免れたんだ?」

芳樹が訊いた。

「憑依というより、呪縛だったんだけれど、一時的だったのかどうなのか・・・。」

「そっか。」

「光君のアパートのそばで会ったご老人のおかげでしょうね、きっと。
あのご老人なら私が新宿角筈十二社に縁を持つ者だって知っていらしたかも。
だから、徒然草百十五段を熟読するよう私を導いたの。

幸嗣先輩があんなことになって、高井戸の病院から戻ってずっと泣いていたわ。
そしたら光君が来てね・・・。
彼に帰ってもらって、私、すぐ目の前の成願寺へ行ったわ。そして熊野様にも。

鈴木九郎さんとお話したわ。」

「出た!」

ケンスキーが興奮して言った。

「さっきのMNEMOさんが『トーホグマン』で主要登場人物の一人として書いていた
中野長者の鈴木九郎だろッ!」

「私の家では長者様って今でも言っているのよ。私の名字は佐藤だけれど、なんだか
長者様とは遠くつながっているんだって、余丁町のおばあちゃんが言ってた。
おばあちゃんの実家は内藤新宿以来の生粋の新宿っ子の家なのね。同じく新宿っ子の
おじいちゃんと見合いして結婚したって。二人とも長者様のことはずっとご先祖様から
聞いてきたって言っていたわ。」

「まさか、悠奈のお先祖、九郎さんの娘さんとつながったりして。」

芳樹がそう言うと、悠奈は俄かに声が震え出し、

「それは今言わないで、芳樹先輩。私、私・・・。」

芳樹は「ごめん」と言って悠奈の肩をさすった。
そして気を取りなおすように、

「なあ、みんな。対岸に行ってみないか」

と呼びかけた。

「狛江ってこと?」

周平が訊いた。

「ああ。俺知ってんだけど、今は東京都と神奈川県て分けられているけれど、元々は
どっちもほぼ武蔵国だし、東京の多摩東部地域は明治26年まで神奈川県だったんだぜ。」

「よく知ってんなあ、芳樹ぃ。」

周平が感心した。

「歩くWikipediaだな。」

「狛江も対岸辺りはまさに駒井村宿河原っていう名前だったんだ。」

「お前、そこまで知ってんの不自然なくらいだよ。いくら対岸の多摩丘陵の大学で
歴史やってたっつったって。」

「周平、お前、促音多すぎ。」

「わりッ。」

「・・・まあ、ここ稲田村の飛び地だったらしいけど。だから宿河原のぼろぼろの
決闘の場っつったって、狛江の宿河原かもしんねんだぜ。」

「お前も促音3連続だったけどな。でも現にいろをし房はここで光とー」

「多摩川はタンバ川、『タンバ』は古代『小石、石』を意味したんだ。石が多い川、
つまりは水量少ない、渇水期なんかは歩いて渡れてしまうような川さ。
ほら、対岸なんてすぐじゃん。」

「で、行ってどうすんの?」

ケンスキーが訊いた。

「悠奈が会ったっていうご老人と、もしかしたら会えるかもしんねぇじゃん。
会えたら、幸嗣とのことを含め、なんかアドヴァイスもらってさ。」

「なるほど。」

「私もできれば会いたいな。」

悠奈がポツリと言った。

「お礼を言いたいし、お名前も伺いたいし。」

「よっしゃ、決まりだ。光もいいな!」

光は力なく頷いた。


<つづく>




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蹉跌集め -15- [小説]

15

「すいません、MNEMOさん・・・でしたっけ。」

悠奈が言った。

「ちょうどその百十五段の話をしていたんです、わたしたち。」

「ああ、そうなんですか!」

「なので、あのー、できれば・・・。」

「あ、ごめんね。割り込んじゃって。帰ります、はい。」

MNEMOは踵を返した。しかし二、三歩行って振り返って、

「最後、一言だけ」

と言った。

「ここらはなかなかに因縁深いとこですからね、あまり深入りするのはやめた方がいい。
川はもともと多くのものを呼んじゃうもんですけどー
『川は呼んでる』っていう歌があるくらいで・・・ハハ。
・・・中にはちょいとヤバいのも・・・ね。
ぼろぼろの話は兼好さんが言う通り、『死を軽くして、少しもなづまざるかたの
いさぎよく覚え』られるところがある。でも、なにしろ果たし合いで命を散らした
二人であったことは疑いないしね。

『ぼろぼろ』は、『世を捨てたるに似て我執深く、仏道を願ふに似て、闘諍をこととす。
放逸・無慙の有様な』んですからね。」

「もうよい!」

光が大声を上げた。

「さやうなことは知つてをる。今我ら申し合ふべきことありてかうしてをる。
邪魔立ては無用ぞ。」

MNEMOはハッとした。少なくともこの声の主は<憑かれている>と悟った。
見ればその目は赤く光っている。MNEMOは少したじろいだが、

「さればー」

と拳を握りしめ、腰脇を固めるようにして言い、MNEMOは歌い出す。

We just wanna know what our lives are for
Beating every hostile who stands in the way?
Have you ever felt like this before?
The secret's gonna be unfolded today
We really don't have any foes to slay
No more need to live this way

Love will fill the world
And it will reign
Supreme Forever!


「おおッ!」

ケンスキーが感嘆の声を上げる。

「The Realm of Athenaだ!マジか、目の前で歌ってもらっちゃった!!」

光はヘナヘナとなって、芳樹にもたれ掛かった。
悠奈は目をつぶって聴いていたが、MNEMOの歌が終わると同時に涙を滝のように
流すのだった。


悠奈が目を開くと、MNEMOはいなくなっていた。

「MNEMOっていう人は?」

悠奈が訊いた。

「行っちゃったよ。」

芳樹が応えた。

「光、光よぉ。」

芳樹はもたれかかったままの光を揺り動かして言った。

「MNEMOさんの歌、俺は初めて聴いたけど、truthがあったよな、え?
同じシンガーとして、アカペラで、あれだけの迫力、迫真力でお前、歌えるか?
いやさ、お手盛りで褒めてんじゃない。フフ。(このセリフは後に削除。)
ことばが歌になりたがったっていうか、そのことばがシンガーの魂と一緒になっている
っていうか。」

「でも、あのご老体だって、若いうちはロックやってモテたいとかだったんだろ!」

光が鋭く反論した。

「『星の1秒』とかってバラード歌ってて、神のと同じdesignで戦うしかない
なんてぇ歌詞だったなあ。」

ケンスキーが言った。

「これもアニメの歌で、OPとのカップリングで売れたらしいよ、だいぶ。」

「そんな不遜なことを!どうせ、薄っぺらい歌詞を書きたくなかっただけだろ。
自分は薄っぺらいくせに。カッコつけてただけだよ、どうせ!」

光は強く反駁するが、目はもはや赤く光っていない。

「でも、人間なんてあっという間に変わるわよ。」

悠奈の語気は鋭かった。

「いいようにも悪いようにもね。豹変よ、豹変。それに若いうちの作品が、経験とかに
裏打ちされていないから嘘っぽいとか、価値が低いとかなんてありえない!
光君の歌詞は、じゃあ、ホンモノなの?歌は?<そのときの真実>は、嘘に塗れていく
運命にあるとでも言うの?」

光は黙ってしまった。

「お二人のぼろぼろの、二荒山での諍いもそういうことを巡ってのことだったのよ!」

「え?」

周平が驚きの声を上げた。

「いろをし房が、しら梵字の師匠『しの梵論』と仏の歌を巡って口論になったの。
世捨て人となった自分たちが、いかに自分の成仏ばかりか衆生の成仏にも
貢献できるのかを、二荒山の春の宵に語り合っていてね。
この世を仏国土とするべきだというしの梵論に、いろをし房はあの世こそ慕わしい、と。
今でも対立している論点よね。しの梵論が、いろをし房の歌詞には経験の裏打ちが
ないって言った。その一言が、スパークをもたらしてしまったの。」

「そんなことで殺し合いに?」

周平が疑問を呈した。

「いろをし房は、しの梵論のことをそれまで慕っていたの。衆生の幸を祈ることでは
変わらないのに、方法論で違ってしまった。99パーセントの一致でも、人はたった
1パーセントの乖離を、まるでスマホ画面をピンチ・アウトするように、
99パーセントの合意ほどに広げてしまうの!」

光は悠奈の表現を聴いていて改めて感じ入っていた。


<つづく>



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「どんづまり」に歌え -3-

みなさんのご協力をお願いします。

こんなどうでもいいブログを読んでくださっているみなさま。

私には治雄ちゃんとスティックというバンド・メイツがいます。
映像については、SimoちゃんがSUBTLYの第4メンバーとして関わってくださる。
そのヴィジュアル・アウトプットでは、Mick師匠、そしてKや幸夫ちゃん、
NY在住photographerやすさんの技術経験、お知恵もいただきたいと思っています。
また拡散においては、壽實プロデューサーにも心からその広いご人脈、
ネットワークを通じてのご貢献を賜りたいと思っております。

完成の暁には、どうか、拡散をお願いしたいのです。

そして制作中においても、なにかご貢献を賜れるならば、うれしく頂戴いたします。
金銭カンパとかではなく(それもうれしいか<笑>)、あなたさまのお知恵、
技術などなど、なにかしらありましたら、どうぞご遠慮なきようコメント欄に
その旨お書きください。(非公表で受け取れます!)


<了>



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「どんづまり」に歌え -2-

では、どうすればいいのでしょうか。

頭の悪い、なんの政治的権力も権威もない、しかも無名のバンドが、実効的方策など
考えうるはずも、またたとえ奇跡的に考えられても実行できるはずもないのです。

核エネルギーの利用についてその原理を与えてしまった、20世紀中最高頭脳の持ち主の
ひとりであったEinsteinすら、核兵器反対を唱えるだけで人生を終えてしまいました。

一体「無名の老体バンド」に何ができるというのでしょう。

・・・歌うしかないんです。
その音楽と映像が、たとえ「ならず者」の耳目に達することがなくても。

どんな大義があろうが、自暴自棄を誘発してしまうどんな個人的感情が湧きあがろうが、
<そんなこと>で他の人々の命を奪っていいはずがないことをー
どんな人間であっても当たり前だし、かつては当たり前だった人としての基底的な倫理を
ただ愚直に音楽と映像で訴えるしかないのです。


広島と長崎に続く人類史上3番目の核攻撃対象の都市が今あるのかもしれません。
もちろん複数あるのかもしれませんがー

想像してください。

その都市では、今日常のことが当たり前に営まれています。

自分の生活のため、将来のため、朝刊を寒い中配った青年は、ほっとして缶コーヒーを
飲んでいます。

生活が苦しいシングルマザーは、つい数時間前に準夜勤の仕事を終え帰宅し、
ほんの少し眠っただけで、小学生の長女に「ごめんね、朝ごはん、
チンすればいいのを買ってきたからヒロくん(弟)と食べて」と言い残して、
日曜午前のパートタイムに出て行きます。

早春の朝の光を受けて、清々しい気分で川の土手道を歩くある老人は、
つい最近まで患っていて、残り少ない未来が急速に閉じていくような日々を過ごして
きました。けれども、多くの人に医療的にも精神的にも支えられ、回復し、
再び広がった未来の視野に、生かしていただいた、生かしていただいているという実感と
感謝をなんとか表現する、あるいは実行する方途を、見出そうとしています。

浪人生活で長く感じた不安をなんとか克服し、合格を確信している少女は、
「精一杯実力を出し切ったわ、夢の実現への一歩を踏み始められた、
これまでの励ましありがとうね」と友人に語っています。

核兵器廃絶は、人類の基本的で究極的な<人としての道>だと訴えたいと、
一銭の金にもならないどころか、持ち出しになってしまう音楽・映像活動を企図し、
それにどれほどの意味があるかも分からず、ただそうすることが自分の愛する歌が
ずっと存立していくためにはなくてはならないことだとある歌手は思って、
その想いを仲間に伝えるためキーボードを叩いています。

こういう人々の今を、未来を、そしてそれらを意味付けている彼ら彼女らの過去を
一瞬で奪える人間など、いていいはずがありません。


<つづく>



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「どんづまり」に歌え -1-

今日バンドのリハがあります。

先日ここでご紹介した「Stand N Rock #NoDAPL」の映像付きヴィディオ
<のようなもの>を8月に向けて発表したいのです。
この企てを私は「HNF Project」と呼んでいますが、改めてご紹介申し上げれば、
それは「Hiroshima Nagasaki Fukushima」のことを世界のできるだけ多くの
方々に考える時間を持っていただくための音楽・映像活動です。

日本は、世界唯一の戦争被曝国であり、チェルノブイリと共に人類史上最悪レベルの
原発事故を経験した国です。核に関する最悪事態について2つの「唯一性
(ないし準・唯一性)」を有してしまった国など日本以外世界のどこにもありません。

なのに、どうでしょう。

まず、あの福島第一原発の事故があっても、喉元過ぎればで再稼動の嵐。
「慎重派」だったはずの三反園知事は川内原発再稼動を許してしまいました。

日本は核使用禁止を国として呼びかけていませんし、それどころか、抑止力としての
核は使われることが前提にされるがゆえ意味があるわけですから、アメリカの核の傘の
下で、それが有効な抑止力となっていると<信じている>がゆえに、「オバマ政権が
導入の是非を検討している核兵器の先制不使用政策について、安倍晋三首相がハリス
米太平洋軍司令官に『北朝鮮に対する抑止力が弱体化する』として、反対の意向を
伝えた(2016.8.16付毎日新聞)」というようなことが<さも当然のように>行われて
しまうのです。

「核の先制不使用」をアメリカや西側同盟国の中の核保有国が宣言してしまったら、
邪悪な国による先制を惹起しかねないという理屈です。

確かに、兄すら権力基盤の安定のためなら海外においてでも殺す<ならず者>がいます。
それによってどれほどにデメリットがあろうと、自分の体制維持のためなら実行して
しまうほとんど理性を失っているとも言える暴挙です。そんな者が核のボタンを握って
いる現実がある。「死なば諸共」という考えうる最悪の決断をしない保証はだれも
できはしません。

しかしー

「変な兆候があったら、こっちが先に使うぞ」とならず者へ通告すれば、彼はそれゆえ
怯んで先制使用はしないという<理屈>は本当に妥当なのでしょうか。
「死なば諸共」と覚悟した者に、そんな理屈が通用しますか?

くだんのならず者ばかりでなく、最強兵器を持っていたいと思う者は他にも
いるに違いなく、例えば核廃絶が達成された後であったとしても、秘密裏に核を持ち、
またも最強兵器を独占することの魔術的な魅力にとり憑かれる者が出てきてしまう
危惧を誰ひとり否定できません。

どんづまり、なのです。


<つづく>




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蹉跌集め -14- [小説]

14

「つまり、しら梵字の師匠の霊が幸嗣に、ってこと?」

芳樹が言った。

「さすが芳樹さん。」

悠奈が答えた。

「だから私は、光くんに仇討ちを申し込まなければならなかった。」

「今、ここで?」

周平が恐る恐る訊いた。

「私、ご老人のお話から強く意識して徒然草の顛末になんかならないようにって
行動したから。もう<仇討ち>は終わっているの。」

「どんなことしたの?」

ケンスキーの問いに悠奈は戸惑った。なにしろ光がすぐ傍にいる。

「問題は私も幸嗣先輩を傷つけてしまったこと。」

芳樹たちは黙ってしまった。

「これはそう動かされたのかどうか知らないけれど・・・。
互いの身を刀で貫き合ったぼろぼろ二人は、あの今は船島稲荷になっている宿坊で
出会ったとたんに惹かれているのよ、互いに。師匠の仇を取るため遥々やってきた
信義に厚いしら梵字ー
堂々と名乗りを上げ、修行仲間に迷惑をかけないよう、
また宿坊・道場を穢してはならないと河原に誘ったいろをし房ー
互いに敵ながら天晴れっていう尊敬心があったのよ。私も光くんに同じ気持ちを
抱いたわ。」

「で、光はどうなの?もう決着はついた?」

芳樹が訊いた。

「いろをし房とずっと話していたんだ。」

光がゆっくりとした口調で語り出した。

「しら梵字の師匠を手にかけた事情を話してくれた。やっとね、さっきだよ、さっき。
ずっと知りたかったんだ、中学生の頃から。

まず『いろをし』ってどうしてそう名乗ったのか。『いろ』は化粧のこと、だから、
『いろをし』は『化粧をした』、『房』は『坊』に同じなんだ。化粧をした坊主、
つまり彼も白拍子だった。男のね。

今様、つまり当時の流行歌を歌って踊ったそうだ。歌は自分でも作ったと。
徒然草では『東国』と漠然と書いているけれど、いろをし房がしら梵字の師匠と
出会ったのは、今は栃木県日光市の二荒(ふたら)山だったそうだ。」

「二荒山・・・。」

悠奈が噛みしめるようにその地名をリピートした。

「男体山のことだ、あの中禅寺湖のすぐわきに聳える。」

光が続けた。

「二荒というのは、アイヌ語の『フトラ』、つまり『熊笹』の多い山という
ことからの古い古い名前らしい。」

「なんだ、MNEMOっていうシンガーの『トーホグマン』っぽい話だな。」

ケンスキーが横槍を入れた。

「二荒山神社の祭神は大己貴命(おほなむち)、つまり大国主命でしょ。」

悠奈が言った。

「自分たちよりずっと後になって日本へ入ってきた、後期弥生人とも言うべき者たちに
国譲りをせざるを得なくなった出雲の先着弥生人がいたわよね。
その王が大国主だった。息子のひとりのタケミナカタは、後期弥生人のタケミカヅチに
最後まで抵抗して出雲から諏訪へ逃げてきたのよ。同じように他の先着弥生人も山国へ
落ち延びていくの。そしてそこにはもちろん縄文人の子孫たちがいたのよ。
二荒にももちろん。そしてそこで両者による山国の信仰ができてゆく・・・。」

「ほら、ほら、まるで『トーホグマン』だ。」

ケンスキーが笑っていると、人影が近づいてきた。

「ん?」

「すいませんがー」

その人影が言葉を発した。

「今、どなたか『トーホグマン』っておっしゃっていませんでしたか?」

ケンスキーは一瞬逡巡したが、その人影に向き合って、

「あ、はい。僕が」

と答えた。

「そうですか。どうしてトーホグマンをご存じなんですか。」

「え?いや、あのー、ネットでちょっと読みまして・・・。」

「すみません。突然の質問で。」

人影はペコリと頭を下げた。

「実は、私、その『トーホグマン』の作者でして。」

「ええッ!?」

ケンスキーは卒倒しそうになった。

「・・・じゃ、じゃ、あなたはMNEMOさん?」

「ええ。」

人影の声には含羞の響きがあった。

「MNEMOです。いやあ、あんな物語の読者とここで出会うとはー。
私ね、たまに来るんです、ここへね。住んでいるのは対岸の狛江市なんですけれど、
長くこっちの川崎の方で働いていたりしたし、思い出もありましてね。
このお稲荷様から少し下流の方へ行くと、ハリエンジュの木が多いんですけれど、
五月なんかはとてもいい香りがしますしね。なにより、大好きな山桜が植わって
いるんですよ。山桜はこの辺りじゃ、ここだけで見られるんです。それにー」

MNEMOは少し間を取った。

「・・・ここは『徒然草』第百十五段のエピソードの舞台ですからね。」

ケンスキーも他のみんなも唾をゴクリと呑んだ。


<つづく>




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Вы можете сделать ваша страна мирная нравится эта симфония.



芥川也寸志さんのTrinica Sinfonicaの第3章・フィナーレー

もう6年も前、EurekaがSPOに所属していたときに、先輩たちが奏でるこの曲に接し、
私は雷撃に遭ったような気分になった。30年ぶりの懐かしい教室で、私は震えていた。

昭和23年の作曲、芥川さんは東京藝大(当時音大)の研究科生だったという。
音楽を志したのはそのたった7年前だった。作曲部入学時の成績は最下位だった。
校長に、父親(龍之介)の名を汚さぬよう発奮せよ、と言われたとも言う。
戦時中陸軍軍楽隊に入れられ、そこを首席卒業して意地を示した。

昭和23年(1948年)、このフィナーレを書き終えたとき、也寸志さんは快哉を
叫んだに違いない。忌まわしい戦争が終わり、日本の山河を曲にしよう、
それも、西洋古典音楽と日本の詩情的伝統の両方に根ざしながら、また、と。
也寸志さんは訪ソも何度かされているようだ。特にプロコフィエフに傾倒したらしい。
ロシアの山河もきっと也寸志の若い心にinspirationsを与えたに違いない。

だからこそ、この現代のロシアの少年少女の演奏がある!
ロシアの少年少女よ、ありがとう。
あなたがたはきっと戦争のないロシアを創り上げてください。
この曲を愛してくれるあなたがたなら、きっとそうできるから。


日本のプロのオーケストラによる演奏はこちらだ。

https://www.youtube.com/watch?v=F2biHiHn_fI


・・私はこの曲の心の躍動が大好きだ。
特に後半のチェロをメインにしたBパートを聴くとたまらなくなる。
私の大好きな初夏の息吹を感じるのだ。

この曲の完成日は8月30日だったという。
私の誕生日だ。



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沈黙(もだ)の中で

沈黙の中
耳を澄ませば
Karenなる聲は歌へり
愚を貫くと


Intelligent Designをした<存在>こそ「神」なら、
なにゆえ宇宙の絶妙なバランスを企て実現したその神が、
これほどに不完全なヒト、人の世を、創られたのか。
それを問うても、「沈黙」されてしまうのだろう。

しかし耳を澄ましていると、答えではなくとも、聞こえてくる何かがある。

神は結局その問いをしつづける者を祝福するのではないか。

Karen Carpenterは、

I know I ask perfection of a quite imperfect world
And fool enough to think that's what I'll find

私がまったく不完全な世界に完璧を求めているのは知っているわ
そしてその完璧を私は見つけるんだなんて思うほど愚かなのも
(MNEMO訳)

と、I Need to Be in Loveで歌っている。
詩はおそらくJohn Bettisによると思われる(曲・詩のクレジットは3人が分け
あっている。兄Richard Carpenter、Albert Hammondが残りの2人だ)けれども、
このBettisの想いはKarenにしっかりと伝わっているー 歌を聴けば分かる。。

「その完璧を私は見つけるんだなんて思うほどの愚かさ」を持つ者が祝福される。
しかしその発見はきっと一瞬のことでしかないと思う。
一回だけではなく、何度も、ということはありうる。
けれども、発見後すぐスルリと逃げていってしまうだろう。

それにしても、このI Need to Be in Loveはその「発見」に等しい。
歌としてのperfectionがあるではないか。
この歌を日が沈むのを見ながら聴いたりしたら、もう何の限定句も要らず、
perfectだ。

ただしそのとき、「<愛の中にいる>ことが必要だ」。


https://www.youtube.com/watch?v=a5NE1BzPq2g




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The Worst Parasite on Earth

外はまるで梅雨時のような雲行きで、心が、颯に乗って北へ急ぐ雲に同期し、
ザワザワ、サワサワしました。


CyyK0gpWEAA-1I1.jpg

Landscape Under Stormy Skies by Vincent van Gogh. 1888


*

Mooさんが昨日私がembedしたStand Upについて詳しく書かれています。
(Mooさん、腹痛はほぼなくなりました。ご心配ありがとうございました。)

スタンディングロック・スー族たちのパイプライン建設への思いは、
ウチナーンチュの軍事基地建設で二度と戻らなくなる辺野古の海への思いと同一だ、と。
ウチナーンチュのミュージシャンの中にもStand Upのような歌を作って、
YouTubeに上げたりしてがんばっておられる方がいらっしゃるのでしょうね。

ニュースを聞いていたら、ロシアが北方領土で軍備を増強しているとか。
どうしたんですか、シンゾー=ウラディミールの親しい関係は?

ますますアメリカ様、ドナルド様ということなんでしょうね。


「ち。ウラディミール、がっかりしたよ。でもいいもん。今度はドナルドがいる。
僕、あの数日で彼とマブダチになったんだぞ。君のことも評価していたけれど、
ドナルド、僕のこと、great guyって言ったんだぞ。イエーイ!」

「シンゾー、それはよかったな。それはそうと、オレも無用な領土紛争はしたくない。
そこでどうだ、君が言う『北方領土』、ロシアに払い下げるっていうのは。
もちろん、ゴミがいっぱい出たから値引きしろってこっちは言うから、
実質タダにしてくれよ。よろしく。」

「・・・だったら、シンゾー記念諸島って名前にしてくれよ。」

*

スー族の踊り、すばらしいですね。
「インディアン」と呼ばれた人々の大地との一体感はすさまじい。
大地を踏みならして、地の神、水の神にアピールし、太陽と月を仰いで踊る。
どんな民族だってかつては同じ舞いをしたはずです。

我々SUBTLYは、Tabooと同じことをしたいのです。
核はパイプラインからの汚染では比べものにならないほど大地を水を汚します。
その前に、その大地と水を必要とする生き物を絶やしてしまうでしょうし、
生き残った者たちがいても、その大地と水を永遠に使うことができなくなる。

39光年彼方に地球と同じような惑星が一挙に7個見つかった、と。
そこに移住するなんて、たとえ39万年経っても無理でしょう。
46億年かけてつくられた地球という<生命体>に寄生する、「最高度」の知的
生物がそのはるかはるか以前に「宿主」を殺してしまうでしょうから。

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小説より荒唐無稽な話ばっかりで・・・



Stand Up / Taboo



しかし・・・

病床で(ちょっと大袈裟ながら)いろいろ見聞きしていると、世の中おかしいこと
ありすぎで、おかしなことアリスぎワンダーランド、いや、ワンダーワールドの
住民に勝手にさせられている不幸を思う。

正男さん暗殺、トランプの相変わらずの<病気>ぶり (Stand up for the North
American earth!)、プーチンの好き勝手やり放題、党勢回復の切り札のはずだった
蓮舫さんのリーダーシップの欠如(もともとないんだが)、そしてなにしろ
「安倍晋三記念小学院」の豊中国有地超廉価購入って、どないなってんねってんねや。
これで責任回避できたら、ほんま、当事者たちは教育勅語の精神に悖りまっせ。
世も末や。

*

昨日は後半コマ、30分短縮ながらがんばってやりました。
受動態と現在完了、どっちも「p.p.(過去分詞)」が重要でしてね。
生徒たちにお腹を壊したことは言っていたので、「このタイミングでp.p.って言葉を
いっぱい使う授業をする私はお腹ピーピー」って自嘲しました。

その受動態のことー
「by+動作主」が必ずしもいつも言われるわけではないという点について、
ちょうど1週間前、この時間の生徒たち(中2)の授業の真っ只中で
「金正男氏殺害さる」というYahoo!のニュース・メール速報が入ったわけで、
「もしそれが英語だったら、Mr. Kim Jong-nam was killed(ただしニュースの
見出しでは、受動態のbe動詞は普通省略されます)だったんだよ。だって、
誰によってかは不明だったし、なにしろ正男さんが殺されたことがメインだったから」
などと殺伐な例文を示したりしました。

*

いやあ、しかしNHKの朝のニュース、安倍記念小の国有地払い下げ問題に一切
触れませんなー。ああ。



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Any choice to make

夕鶴の行くて無限の一夜来る

腹痛が間歇的に来て、まことに尾籠な話ながら、ほぼ毒素を出しきったようです。
授業も順延、ただただ横になっていました。
ずっと聴いていたのはー そしてそのまま眠りについてしまったのはー
小林秀雄の本居宣長についての講演、その関連で釈迢空(折口信夫)についての
お弟子さんによる講演などでした。

聴いている裡に口をついて出てきたのが冒頭の一句。
釈迢空なら短歌であるべきですが、七七で「だからどうした」を歌わないのがいいと
思うのです。

「つう」は自分の羽を布に織り込んでいるところを見られ、また自分がツルであることを
知られてしまった。約束を破った「与ひょう」のもとを去るのでした。
私がチビスケの頃、この一見わかりやすい筋の戯曲を見て(読んで?)感じたのは。
欲深い人間の罪深さでしたし、それはまったく当たり前の感想でした。

年を経て、老境に近づき思うのは、つうはそれでも、与ひょうを愛しているなら、
「夕鶴の行くては無限なのだからー」ということです。
Otherwiseがあるだろう、ということです。

一体、どういう選択が幸せなのでしょう。
いや、どんな選択がより幸福度では優るのでしょう。

「catch-22」という英語があり、どっちを選んでも勝算ない状況ということですが、
それでも、「勝算」という言葉に問題はあるにせよ、その優劣はあると私には思えて
しまう。むろんつうを裏切ったことで与ひょうへの愛情が冷めてしまったならそれはそれ、
断然彼のもとを去るべきでしょう。

問題は、つうがまさに身を削ってまで与ひょうのために尽くしたその愛情は、
織っているところを見てはならぬという約束を与ひょうが破ったことで帳消しになって
しまうほどのことだったのか、ということです。

つうが、夕鶴が、たとえば太陽を追って西の空へ飛び立つ。
そのときつうには、傷ついた体で飛行し続けるか、与ひょうの悔恨を信じて舞い戻るかと
いう二者択一があるようで、しかし、まずは翼を休め、どうすべきかをゆっくりと
考えるという選択肢だってあるはずです。どんな「行くて」もあるはずなのです。

・・・そんなことを考えていました。



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いやあ、まいった

横になっているばかりだからなのか、ひどい腰痛、関節痛。
食欲は出ず。
ただし、リンゴおいしい。

使い物になりません。


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私もぼろぼろ

いやはや・・・。

昨夜授業を終えて、味噌ラーメンを作って食べたのですが、
前々日に炒めておいた具がどうやら腐っていたようで、1時間もしない裡に
猛烈な吐き気、脱水症状。

なのに決定的なpukeがなく(失礼!)、間歇的に起こる脱水症状でもうボロボロ。

だいたい24時間が経ち、その間は水を少しと、オレンジジュースだけ。

また痩せました。(笑)

今はなんとか凌げるようになりました。



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蹉跌集め -13- [小説]

13

「光くんがまず中学の頃に『いろをし房』と同調してしまったのよね。」

悠奈は言った。

「霊格高いご老人は、長く東大の印度哲学科で教えていらしたそうよ。
定年退官しても、文京区小日向に住んでらしたって。小日向から本郷へ毎日歩いて
通っていらしたって。でも、どういうご縁か、多摩川のほとりで暮らすことを
望むようになって、いろいろそのほとりの街を歩いたけれど、
万葉集の『多摩川にさらすてづくりさらさらに何そこの児のここだかなしき』の
歌碑を狛江に見つけ、感激して狛江を選んだのだとか。

ご老人は、『お嬢さん、あなたには今あるぼろぼろがついています』って。
その乞食僧は、白拍子の息子で、名の通りサンスクリット語を研究し、仏典の漢訳に
よらない解釈を試みたぼろぼろだった。母親譲りで実に音楽的な人だった。
そのぼろぼろ、あなたに憧れたのでしょうね、って。

そしてー
大丈夫、お嬢さん。変な結末にはならないから、って。

私は徒然草が好きだったから、きっとあの二人のぼろぼろのことだって思ったわ。」

「さすがは悠奈だね。」

芳樹が褒めた。

「それにねー」

悠奈が続けた。

「私の実家は西新宿、昔で言う角筈十二社なのね。」

「え。あの熊野神社の?」

「そう。中野長者鈴木九郎が室町期に創建したの。寺は曹洞宗で、成願寺、
私が今住んでいる中野坂上のマンションの斜向かいでね。この角筈っていうのは、
修行者の持つ杖のことで、鈴木九郎が奥州で採れた黄金の精錬でノウハウを
持つ山伏たちを招き、さらに自分は紀州の神官の家柄だから、熊野様という
宗教施設も建てたのよ。」

「ああ、それ、MNEMOっていう老ロッカーのブログで読んだことがある。」

ケンスキーが少し興奮して言った。

「この人、80年代EUROYってバンドでちょっと売れたのにすぐ辞めた人でさ。
頭でっかちで、変なことばっかブログに書いてんだけどね。
LOST CANPUSのOPやってんの聞いてさ、なにこのバンドって思ったら、
80年代デビューした日本人バンドだってネット検索して分かってさ、
そんでリードヴォーカルで歌詞を書いたMNEMOっていう人にたどり着いたんだ。
『トーホグマン』っていう小説、ブログで書いててさ、鈴木九郎、娘の小笹だっけー」

「やめて!濫りに小笹さんの名を口にしてはいけないの!」

悠奈が怒気鋭く叫んだ。
ケンスキーはキョトンとした。

「私はとにかくー」

悠奈が気を取り直して言った。

「中世の山伏やぼろぼろとなにかしらつながってしまうの。
そういう人たちの中には、吟遊詩人のような者もいた。私は奈良時代より前から
巡遊伶人がこの国にもいたことを知って感激したの。白拍子も、容姿優れた歌うたい、
そして踊り子でしょう。巫女に通じる。」

男四人は悠奈の巫女性を昔から感じ取っていたのを改めて思い出していた。

「ご老人にそう言われて、私は次の日あらためて徒然草第百十五段を読んだわ。
そして嫌な予感がした。それでもご老人が変な結末にはならないって言って
らしたから、私はそれを信じてー。」

ここで悠奈は感極まって泣いたー
こんなことが本当にあるんだと。
こうして自分たちを動かしている因縁というものの物凄さにいよいよ怖くなり、
またなぜか一抹のうれしさを感じて泣いた。


<つづく>




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蹉跌集め -12- [小説]

12

「それは違うわ!」

突然女の声がした。

「ああ、悠奈だな、悠奈!」

周平がいつの間にか傍に立っていた悠奈を見て叫んだ。
光はまたも肩を強張らせ、さらに震え出した。

「光くん、分かっているんでしょう。」

悠奈が問い詰めるように言った。

「私こそ『しら梵字』の魂を宿し、あなたは『いろをし房』の魂を宿すこと。」

「なんだ、それ。」

ケンスキーが間抜けな声を上げた。

「そっか!徒然草に書かれたエピソードに出てくる、確か、二人の<ぼろぼろ>だ!」

国文科ではないにせよ、文学部歴史学科を出た芳樹が震えながら言った。

「俺はここと同じ区の、多摩丘陵に在る大学に通っていたから、このエピソードは
憶えていた。<ぼろぼろ>という後の虚無僧の原型というべき人たちが、
中世に登場した。吉田兼好はその<ぼろぼろ>の宿坊、修行場が在ったこの宿河原で、
『いろをし房』と『しら梵字』の仇討ちのようすを書いて、共に相果てた二人の
潔さを褒め称えているんだ。」

「その通りよ。」

悠奈が辺りの空気と同じような冷たい声で応えた。

「光くん、幸嗣先輩が『しら梵字』ではないでしょ。それを今、あなたはここ、
正にその仇討ちが行われた場所で確かめたはずよ。私こそがその<ぼろぼろ>の
魂を宿していることを。」

「しかしな、悠奈ー」

光が正気を取り戻したように冷静な声で言った。

「『しら梵字』の、『いろをし房』に殺された師匠の魂が幸嗣にー」

「そう、そうね。」

悠奈が光の言を遮るように言った。

「私もそのことをさとったのはつい最近よ。あの夜、光くんの狛江のアパートへ
行った時・・・そのとき幸嗣先輩も来たわけだけれど・・・
私、光くんが寝入ってから多摩川の土手へ出たの、いい空気を吸いに。
対岸は宿河原、まさにここよ。

オリオンがもう西の空に沈もうとしていた。『東の空は』って視線を左に移すと、
土手道の川下側から恰幅のいいご老人が近づいてきて。それはもう、暗い中なのに、
お顔が照り輝いているのよ。思わずお辞儀して、『今晩は』って言った。
霊格の高い方だって、あっという間に分かったし。

『お嬢さん』って、その方が私に話しかけた。『凄まじい法力による導きだね』って。
『萩生まれで、広島に移り、そこで家族をことごとく原爆で亡くした私は、
縁有ってこの狛江に住み始めた。しばらくして対岸に妖気を感じるようになってね。
私は元々法華の者、それでも、お念仏でも唱えてあげようかというほど私は仏教諸宗を
分け隔てしない。その妖気を発する者たちー 魂ー に、お題目の方がいいかね、
などと独りごちていたら、二つの魂が巴になってあっと言う間に飛来してね。

徳の高い方、畏れ入るー 我ら宗旨も異なるから、どうかお念仏とお題目、
ひとつずつ唱えてくだされ、ってね。そうしてあげると、その魂は<ぼろぼろ>の
いでたちの人間となって、私の前で跪いてね。

かような霊格の高い方にお祈りをいただき、なにかスッとしました、と。
そう言いつつ、その二人の<ぼろぼろ>は、我らの因縁がこの世の三人の若者に
移ってしまっている、同じ志を持ちつつも、方法論などで対立してしまい、
さらに愛憎絡む三人が、ちょうどそばに来たもので、我らの霊波と同調して
しまったのです、と。』」

「な、なんという話だ!」

芳樹たちは戦慄を抑えられず、立っていられなくなり、しゃがみ込んでしまった。


<つづく>




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蹉跌集め -11- [小説]

11

三人が光の家に着いたのはもう夕暮れ近くだった。
I中学校のすぐ近く、瀟洒な家が県道から登戸寄りに入った路地のすぐ右側に建っていた。
呼び鈴を押すと間もなく母親が出てきて、芳樹が訪問の意図を簡単に話した。

「光は今河原に行っていますよ。」

五十半ばくらいの母親の表情には少し苛立ちが窺えた。

「なんだか突然戻ってきて、何もしないで、中学生くらいまでの習慣が復活しましてね。」

「習慣、ですか。」

芳樹が芝居によく出てくる「念押し疑問」を投げかけた。

「ええ。夕暮れ前に出て行くんです、河原にね。」

「河原・・・。」

「すぐそこですよ。船島稲荷って言う神社が土手下にありますから。その辺りの河原に
いると思いますよ。」

三人はお辞儀をして光の家を後にし、多摩川沿線道路(川崎市主要地方道幸多摩線)を
横断して、土手へ上ると、多摩川側の土手下に木立に隠れるように小さな
神社が在った。三人は下りる道を探しながら、同時に光がいないかとキョロキョロと
見回した。

神社の距離の短い参道に入ると、早春のその日最後の西日が彼らを照射した。
三つ鳥居をくぐって、お稲荷様の社に向かって行く。
日が落ちて一挙に暗くなった。
船島稲荷ー
狐は六体あった。鼻が欠けているものが多く、狐より猿に似ている。
「沓稲荷」とも言われ、足のケガにご利益があると掲示にある。
洪水からも守ってくださる、とも。
三人は歴史好きで、狭い境内ながらもそれぞれ逍遥した。

三人が社の正面まで来て、ケンスキーが左手の河原をふと見ると、人影があった。

「あ、あれ、光じゃね?」

「ほんとだ。」

三人は社に向かってお辞儀をしてから、その人影の方へ歩みを進めた。
すでに相当に暗くなっていて、その人影も近づく三人を意識せねば認められない。
光が声を発している。歌っているのか、それともー。

「光か!」

芳樹が大きな声で呼びかけた。

光はギクッとしたように両肩を強張らせた。そしてゆっくりと声の来た方向へ
顔を向けた。

「光。どうしたんだよ、お前。行方不明になっちゃって。」

周平が言った。

「連絡ぐらいくれよな。」

ケンスキーが畳みかけた。

「俺たちさ、JAPPS、続けてこうぜってお前にも幸嗣にも言いたくて来たんだ。」

光は無言のままだった。

「光、聴いてんのか。」

周平が少し厳しい口調で訊いた。

「いろいろあったろうけど、幸嗣は幸い大事には至らなかったし、な、この経験を
俺たちのこれからの活動に活かしてさー」

「幸嗣と刺し違えなきゃな。」

唐突に光が驚くべき内容の第一声を放った。

「は?刺し違える?なんだよ、それ。」

ケンスキーが呆れて言った。

「俺とあいつは、宿命の仇同士なんだよ!」

光は声を荒げた。

「ア二言ってんだ、おめぇ。バカなこと言ってんじゃねぇぞ。」

周平が千葉訛りで諌めた。

「あいつを連れて来い!ここへ。なんで連れて来なかった!」

三人は暗然たる気持になった。
光は心の病を抱えてしまったのだろうか。


<つづく>




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2017年2月14日の夜

政治家というのは、自分の功名心を捨て、なにしろ国民・市民のためと生きる人の
ことと理解しているけれど、絵空事なのだろうか。
政治家だって人間だ、で話は終わりになってしまうことも無論ありえようし、
実際そんな例は枚挙に暇がない。

德川家康を「大権現様」とするメンタリティーは、戦国時代(大戦争)を終わらせた
人というのは神がかりどころか神であるとするおそらく人類共通のものだろう。

「そう願って余は戦ってきた。殺したくない者も殺してきた。すべては乱世を
終わらせたいという一心であった」と家康が言ったなら、ほぼだれもが頭を垂れ、
「選ばれし者」の苦悩を忖度しただろう。しかし、天皇でも成し遂げられなかった
国内の秩序回復を果たし、家康の満足は功名心の満足であったであろうし、
武力ばかりか権威としても頂点に達して、己の子々孫々が支配者としてずっと君臨する
未来を見据えたとき、この「政治家」の俗物性はいよいよはっきりしたのだ。

そういう時代なんだからしかたがないと勿論言える。
家康が「天下は統一された。さて、ここからは民主制を敷く」などという宣言をできる
はずもなかった時代である。人間(じんかん)のことは儒教、あの世のことは仏教を
基にして、「德川の世」の存続こそ秩序の維持となり、神の前での平等を説くような
耶蘇教などは受け入れ難く、暴力的に排除していくのだ。孫の家光などは、
九州の切支丹・伴天連たちには悪魔の以外の何物でもない。

昨夜中2の子どもたちを教えていると、傍にあったスマートフォンの画面が明るく
なって、「金正男氏殺害される」とYahoo!の速報が入った。

私は勘違いして<あの三代目>のことと思い、絶句した。とうとう独裁者の恐怖政治に
内側から終止符が打たれたのかと思ったのだ。そこですぐに子どもたちに言ったー

「朝鮮半島でエライことが起こったようだよ、みんな。あの北朝鮮の坊っちゃんが
殺されたんだって。政治空白ができてしまい、何が起こるか分からなくなった」と
告げた。「日本にも大きな影響があるかもしれない。」

その後問題をやらせている間に詳報を見て勘違いをさとり、子どもたちに謝った。
それでも、「みんな、これは日本の戦国時代までによく起こったことだ。
権力のために自分の親兄弟まで殺してしまうということだね。そういうのが、
今あの国で起こっているんだ。すさまじいほどの後進性。なのに、そんな国の、
そんな権力者が、核のボタンをいつでも押せるというのだから!」

I hope North-Koreans love their children too

と、Stingの歌の歌詞を変えて唄わざるを得ない。


政治家がもし、敵対したり従わない者なら武士ばかりでなく一向宗徒をも大量殺戮し、
また比叡山を焼き、僧侶はおろかそこにいた女子供まで皆殺しにした信長のように
「人間五十年 下天一昼夜」と分かったようなことを言い、
「だから人生楽しまなきゃ損」などという不埒な思いに至ったら世も末だ。
アメリカ大統領や北朝鮮の第一書記は、本当に自国の民のことを第一に、
いやその民のためにすべてを捧げているだろうか?


大昔、山口じゅんさんのjazz仲間だった作家の故・中島梓さんが、拉致問題に言及し、
拉致被害者はその数奇な運命を嘆くだろうが、凡庸な生活から飛躍した実に
スリリングな人生を送れているという側面もあるのだというようなことを書かれ、
非難されたことがあった。

凡庸な政治家として生きるぐらいなら、ムチャなことをしでかして、どんな結末に
なるであれ楽しんでやろうという<心持ち>に権力者がなってしまったら、
それも核のボタンを押せる立場の権力者がそうなってしまったら、
人類は破滅の道を辿っていくことになってしまう。


懸命に英語の問題にとりくむ中2の子どもたちが、いっそう愛おしくなった。




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What only girls can say

Twitterで<なぜか>最初にfollowerになってくださった方が、
コンスタントに多くの箴言的な、またとてもlyricalなことを囀っておられます。
昨日のtweetのひとつー

If I had to choose between loving you and breathing,
I'd use my last breath to say I love you.

あなたを愛することと息をすることとの二者択一を迫られたなら、
私はあなたを愛していますと言うために最後の息をするわ。

・・・なんという凄絶なことばでしょう。
勝手に女性だと解釈してそう訳していますが。

*

上のようなことばを吐くのを女性だと思ってしまうのはbiasでしょうね。
男性かもしれないとは思いつつ、願いとして(笑)女性であって欲しくなる。
こういう発言も今では微妙にsexistなわけですが。

この方が女性だとして、その感性とそれを表現する言語能力に脱帽しますし
(もちろん男性であってもですが)、こういうことばを吐くのが<大体>女性で
あることのヒト科的傾向に安堵し、またうれしさを覚えます。
私には到底吐けないことばです。

そんなことを思っていると、この方の次の囀りが、

Girls are sensitive, they over think every little thing and care way more
than they should, but that's what makes their love so strong.

女の子は感受性が強くて、小さなこともみな考えすぎて
当然を遥かに超えて気にしてしまうけれど、だからこそ女の子の愛は強いの。

とあって、<安心>しました。
これでこの方はgirlsのひとりであることがほぼ確定的に言えそうです。

しかしまあ、私の「Budweiserを飲もう」tweetになんでこんな方が飛来?
謎は深まるばかり。



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「講」座の帰りに寄りたいがっ

季節は学年末試験の頃、「出るとこガイド」をずっと作っておりました、はい。
特に高3の教科書なんてぇのは、ポイント満載になっちまいましてな、
実にどうも時間がかかってしかたがない。それもCrownなんてぇ高度な教科書は、
実にどうも、そんな文が書けたら英検1級でしょうてぇようなのが多い。
まあ、読んで解釈するだけの力があればいいってぇようなもんですが、
それにしても、英語が不得意と思う生徒にはただただキツイのでありましてー。

この語り調子は、どうも、六代目三遊亭圓生さんのつもりになってのこと、
知らない方には実に怪しからん口調に響いているやもしれませんが・・・。

さてこれからは高1ですでに準一級くらいのむずかしい教科書を使わされている
都立某高校の女子のためにReview Testを作らねばならず、さらに授業でゲス。
いやはや実にどうも、週明けから忙しいこって。

*

三浦九段が復帰第1戦ということで、チェックはしたいものの、そうもいきません。
この復帰戦はなんと竜王戦でげしてな、こりゃ実に怪しからんことですよ、ええ。
どうしてって、あーた、この竜王戦のタイトル獲得者になっていたかもしれない
棋士が、また挑戦権を獲得するために第一歩からスタートてぇのは理不尽で
ございましょう?告発者の渡辺さんが竜王を防衛して、謝罪のことばを<軽く>
吐きつつ、なんらのペナルティーなく居座っているという、実にどうも、
カラバカな話、ここに極まれりというようなことで。

谷川会長が体調不良がさらに嵩じて、会長辞任、ところが今その会長の兄上が
渡辺竜王ら「誣告者」と言ってもいい人々への適正な処分を求めて運動して
いらっしゃるのでゲス。

ええ、そうなんでゲス、東大将棋部出身のアマ強豪谷川「アニー」は署名運動を
しておられ、その相当数になった署名を将棋連盟の佐藤新会長に手渡そうとして
おられるのでゲスが、どうも会長は受け取らないそうだってんで。

「負けないぞ」ってんで、署名したあっしにも「池袋オフ会」のお誘いが
来たてぇようなわけで、そこで気勢を上げ、ますます将棋界を良くするために
連帯感を深めようという・・・。

きっと池袋演芸場に近いところでしょうから、あっしも顔を出したいのは
やまやまですが、まあ、そうも行きません。

2/17(金)19時から22時まで池袋にて(途中参加可)
会費は五千円、女性、学生四千円(食事つき、アルコール飲み放題)

この記事をお読みで参加ご希望の方は、

shogi.lovers@gmail.com

へどうぞ。



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「神だ、奇跡だ」が安売りされる世に

2017.2.12.jpg


なんといふ荘厳さ。
Mooさんの今朝撮られた写真を例の如く勝手に転載させていただきました。
昨日の写真があまりにナニなので、ことさらに自然の超然たる美に打たれます。

http://time.com/4667744/donald-trump-shinzo-abe-flattery/?xid=homepage

Timeにこんなことを書かれてしまうという現実があります。
もちろん「よくやった」と支持する方もいらっしゃいましょう。
なんだかんだ言って日本の安全保障はアメリカ頼み、その現実の中で安倍さんが
すべきことは宗主国とも言えるアメリカ「新国王」に朝貢し、
変わらぬご愛顧をお願いするしかないではないか、と。

こうした露骨なflatteryを示して、いいこともあれば、悪いこともある。
そんなことは誰にでもわかることです。
しかもそのflatteryは<あの>Trumpさんへ示され、全世界にそのことが発信され
たのですから、安倍さんは成果を誇りつつも、「いやあ、この反動も大きいぞ」と
覚悟しなければならない。まあ、手練の政治家でいらっしゃるから、そんなことは
百もご承知でしょうけれど。

*

昨日はKと幸夫くんとでいろいろと話をしました。
一番の話題は、ある方による小説についての書評でした。
赤裸々な告白もあり、文章も巧みで、続編が待ち遠しいということでした。

ただ、赤裸々と言いつつ、寸止めのところもあって、
その辺りをもう少しと思うのは、勝手な読者の願いなのでしょうか。

*

『沈黙』についても大いに語り合いました。

信仰すればなにかトクがあるというようなさもしい了見ではやはりその信仰は
インチキでしょうね。殉教すらなにかしらの「トク」のためなのかと云えば、
それはきっと言い過ぎなのです。

その「トク」があるとしても、あまりに殉教までの痛苦が酷すぎる。
それを耐え抜いたまま命を落としてまさに教えに殉じたなら、
その信仰はインチキな了見からのものでは決してない。
酷すぎる痛苦をオフセットするような「トク」とはなにか。
私には分からないけれど、きっとそれは<さもしさ>などとは無縁のものです。

三大宗教とはよく言われますが、それらが実に夥しい数の人々に信仰されることの
正に奇跡的事実に人は謙虚にならないといけないと思います。むろん三大宗教の
信仰者たちそれぞれも、互いが少なくとも宗教的であるというその事実一点だけに
おいて連帯すべきです。どんなに敬う神仏が違っても。



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He's a little better than any other bad politicians, so let him go on

Mooさんのおとといの記事で、沖縄で右翼の若者が反辺野古基地建設などで
地元の反対派の人々と連帯しているという事実が書かれていました。

対米従属ということへの反発は右翼の一部にも厳然とあるわけです。
さらに、沖縄が「皇国防衛の最前線」として「見事に戦った」ことへの借りが
あるというような気持ちも十分あるでしょうね。

そんな中、安倍さんが「時の人」となっている最強国の新大統領と、
Anglo-Saxon同盟のイギリスMay首相の次に直接会えたー招かれたーことに
実に喜色満面というところ、そして日米同盟揺るがずという言質もとれて
大満足、フロリダに向けAir Force Oneに乗り込めば、もうほとんど観光気分かな。

皮肉で言っている部分はもちろんありつつ、しかし、こういうことがなにしろ
できてしまう日本の首相って他に考えられるか、とも思ってしまう。
「こういうこと」っていうのは、<とにかく>国際政治の舞台に立てること、
という意味です。

21世紀に入って思い出すだけでも森喜朗、小泉純一郎、(安倍晋三)、麻生太郎、
鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦と、まあ、めまぐるしく首相が代わったけれど、
再登場してからの安倍さんの安定感はもうどんな非難があっても否めない。
むろん小泉さんも安定はしていたし、国際舞台にも長期政権になったがゆえの
それなりの存在感を持って立てたけれど、安倍さんは小泉さんでも勝ち取れなかった
総裁任期延長すらお手盛りで確保した。

田中角栄さん以降は小粒になった日本の総理大臣で、小泉、安倍は特筆するよりない。
在任が長期になればなるほど「なめられない首相」になっていくわけで、
それは今の時代の趨勢では、日本にとって<なにしろ>そうした権力者が必要に
なっているということだし、そうなると、一体他のどの政治家が安倍さんに代われる
だろうか、と私も思ってしまうのです。

なにも私は安倍さん支持に回ったとかでは全然ない。
そうではなくて、本当に他の政治家たち、政党の不甲斐なさを言いたいのです。
(そんな傍観者として勝手なこと言ってないで、お前が動け、とかの批判は
措いておいていただきつつ。)
安倍さんがすごく魅力的な政治家だなんてみんな思わないと思うのですよ。
弁がたつとはとても言えないし、intellectualともとても言えない。
小泉さんのような女性を引きつけるところはないし、背はまあまあ高いけれども、
見栄えがするほどの容姿とも言えない。批判されると意固地になるし、
気位だけは高いおぼっちゃまみたいなところが目立つし。

それでも、日本には安倍晋三さんを凌ぐ政治家がいないんですよ。

自民党を凌げる政党も、その芽すらも、ないんですよ。
(あ、小池新党があるか。でも彼女、いまだに自民党員でしょ。)


ー真の保守とは何かって、私は何回か書いてきました。
安倍さんは保守ガリガリのようだけれど、そんなことは絶対ない。
天皇陛下への敬意はどうみても足らないし、TPPを推進したことが意味するのは、
どんなに否定したって、日本の保守の核とも言える農村の最終的な解体です。
だらしないほどにアメリカに擦り寄る。

「ごますり」をapple-polisherと言いますが、彼は対米「apple-politician」です。
その辺りが沖縄で辺野古反対派県民と連帯する右翼の若者には大いに不満、
粉砕すべき根性なのだと私は推察します。

「他よりマシ」ということだけで、政権が長期に支えられていく。
内実は決してそんなに褒められたものじゃないのに、です。
笑ってしまう、あるいは言語道断な大臣が彼の内閣では何人も出てきました。
今なら<(自衛隊員は南スーダンで戦闘があったと書いているけれども)、
武力衝突と形容しないと憲法に抵触してしまうから戦闘とは言いません>と
言い放ったメガネがすてきな弁護士資格を持つ防衛大臣。
共謀罪についての過去の議論の経緯を知らぬまま国会に出て、所管大臣として
質疑に応じる法務大臣。
一昔前なら内閣総辞職もののことがいっぱいあったと思うけど。

旧民主党の政権がなにしろ酷すぎたから、相対的に自民党がマシになってもう
5年目ですか。「相対的にマシ」で、内実はマシとは言えぬまま、
安倍政権はまだまだ続くんですね。



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囀りはじめたよ。いつから?2月ツイッターちから。

私は最近twitterを始めました。
とは言え、それを今のところ積極的に使おうとは思っていません。
スマートフォンとも連動させていませんし、どっかに出て「〜なう」なんて
tweetする気は一切ありません(まあ、今のところ)。

細々始めて、例のバドワイザーの韻を踏んだ洒落を晒したら、
ひとりだけアメリカ人だかカナダ人のfollowerがついてくれました。
その人のtweet集を見ていたらこんな切いつぶやきがあった。

「If I got a penny for every time I thought about you,
I would have one because I never stopped thinking about you.

あなたのことを思うたびに1ペニーもらえたなら、
1ペニーしかもらえないわね、
だってあなたのことを思うのをけっしてやめはしないから。」

ガビョーン。

なんでこんなことをtweetする人が私のようなヤツのfollowerに?




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Mrs. Moo might be becoming quadlingual

体調が悪いわけでもないのに、昨夜は早々就寝。

ずっと続けてきた毎日連続ブログ更新が途切れてしまった。
そんな「記録」はどうでもいいことなのだが、なにしろ書くことがなかった。

Mooさんも数日更新されていなかったが、先ほど更新を確認、拝読した。
奥様が日本語とウチナーグチの両方話せることを「バイリンガル」と言われていて、
まさにその通りであると首肯した。

私が大昔それなりに親交を結んだベルギー人男性は、フラマン語が母語で、
これはオランダ語に近いゲルマン語族の一派だ。ベルギーはフランス語も公用語で、
彼も話せたし、英語も<もちろん>できた。オランダ語はもうほとんど互いに
方言同士くらいの違いで、きっとドイツ語も少しの勉強でネイティヴ並みに
なれたろうし、もうなっているのかもしれない。

ウチナーグチと日本語の差は、いい加減な見積もりだが、フラマン語とドイツ語
ないしはデンマーク語くらいの差だろうか。文法は基本的に同じで、名詞も数多く
共通するないしはほとんど同じ音韻だろうし、基本動詞も相当に似通っているはず。
だが、その動詞を始め、他の品詞も固有の発音になっていったのだと思う。

ウチナーグチはほとんど知らないが、それと「標準語」の関係は、
標準語と例えば東北弁(と言っても広いが)の関係とよく似ているはずだ。
文法は同じ。名詞はほとんど東北の固有の産物とかの名前でない限りは共通で、
しかし、その他の品詞で音韻が異なっていたり、大昔の共通語が関東では保存されず、
東北には残った、というようなこともある。

例えば、會津弁には「(一緒に)行こう」に相当する「あいべ」という表現がある。
「行こう」は「行こ(未然形)+う(勧誘の助動詞)」だ。古語なら「行かむ」だ。
しかし會津にはそれと共に「歩むべし」が残ったのだ。
「あゆむべし」→「あゆべ」→「あゐ(?)べ」→「あいべ」となったのだろう。
「べし」はこの場合「命令の助動詞」ということになるが、「歩むのがよかろう」
くらいの「命令」というより「促し」という感じに近い気がする。

(なお広く知られたことながら、関東から東北まで「べ(い)」、「っぺ」、
「っぱい」という助動詞が今でも大いに使われているが、これらはみな「べし」の
音変化だ。)

「にしゃおらどいっしょにあいべ。」

と言われたら、ほとんどの非會津人はキョトンとするだろう。「いっしょ」だけは
分かるものの、だ。「にしゃ」は「お主は」から音変化した。「おらど」は
かろうじて分かるかもしれないが、「オラと」であり、「俺」が変化し、
「と」という格助詞が「ど」と濁音化したのだ。だから、


「お前は俺といっしょに来なさい。」

ということだ。

「おぬしは俺といっしょに歩みなさい。」

だったら、ほとんどの非會津人にも分かるだろう。
このように源流にさかのぼっていけば、理解できなかった方言も多くの場合
得心できるー それはどんな近親言語同士、さらにそのそれぞれの標準語と方言にも
言えることだろうと思う。

ウチナーグチと本土のヤマトコトバの分岐は相当に古いだろうし、
沖縄では独自進化がもちろん進んだので、なかなか上で述べたような標準語と
東北弁とのような「源流遡りによる共通理解」が厳しいかもしれない。
<純粋な>ウチナーグチはさらに名詞だってヤマトコトバとは大きく違って
しまっている場合も多かろう。もちろんよく知らないけれども。

ーさて、これより常体から「です・ます」体に変えます。

なにしろMooさんの奥様がbilingualであることは疑いありません。

さらに、奥様は「いる」を「おる」とおっしゃいますから、西日本の日本語を
話されもします。これは富山時代で身についたのですね。長野(北信)は
東日本圏内ですので、「おる」はふつう言わないはずです。

よって、奥様はウチナーグチを母語に、日本語の標準語、富山方言が使える
trilingualであるというのが正しいと思いますよ。なお長野は標準語を話すと言って
いいほどに特徴的な方言がないーないしは無くなっているーので、なんとも
言えませんが、奥様は北信方言も身につけつつある、つまり「quadlingual」化が
進行中かもしれませんね。


追記

驚きました。
長野方言(南信濃は除くのでしょうが)に「えべ」という方言あり、と。
「あいべ」と同じで「(一緒に)来い、行け」の意味だそうです。
まあ、信州は會津から遠いようでそうでもないので、こういう共通点も不思議では
ないのでしょうね。



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類は友を呼んで、ゴルフで親睦?

米英のニュース・サイトをこの頃よく読んでいる。
トランプ政権への筆者や記者の思いは、しかし、NBCのSaturday Night Live
という秀逸な「American late-night live television sketch comedy and
variety show」(by Wiki)での茶化しとその笑った後に感じる<現実のひどさ>に
ついての後味の悪さに尽きるだろう。

特に最近のMelissa McCarthyの、Spicer報道官に扮しての茶化しは白眉だ。

http://www.usmagazine.com/celebrity-news/news/donald-trump-upset-sean-spicer-spoofed-by-woman-on-snl-report-w465446

あまりに核心をついた諧謔は、された側の怒りを買ってしまう。

こういう番組が3大ネットのひとつで<ちゃんと>放送されるアメリカはまだ
健全だ。さすがフランスとアメリカは自由を尊ぶ精神の年季の入り方がちがう。
これを抑えるようになったら、もうアメリカも終わり。

翻って、あべぴょん、ドナルドちゃんのおイタに何も言えず、ゴルフのドライバーを
就任祝いに贈ったそうで、ドナルドちゃんは同盟国で唯一入国禁止令に事実上
賛同してくれたあべびょんをAir Force Oneに乗せてフロリダの別荘に連れていき、
会談よりもゴルフでたっぷり27ホール回るんだそう。

「ドナルド、いっしょにゴルフやろ!」
「お、シンゾー、お前だけだな、俺に否定的なこと言わなかったの。」
「ほら、日本が誇る本間ゴルフのドライバーだよ。あげる!」
「はは。すさまじく高いドライバーは何百本も持ってるがな。」
「使ってよぉ。ね。できれば、僕といっしょにコース回って・・・。」
「いいだろ。お前だけが俺に対して否定的なこと言わないから。」
「わーい!僕ね、ドナルド。」
「あんだ?」
「僕、バラクより君が好き!うふ。」
「そりゃそーさ。あいつはいけすかねー。」
「なんかさー、バラクって頭良すぎて・・・。」
「おまえ、それ俺への皮肉か!こんにゃろ、俺は茶化されるのでぇきれーなんだ!」
「ちがうよー。僕、そんなつもり全然ない。僕の東大嫌いは有名だよ。」
「そういえばおまえの政権って、極端に東大出身のヤツが少ないな。」
「理屈っぽいの嫌いなんだ、僕・・・。」
「はは、俺も同じだ。読書なんかよりゴルフだし、それに・・・あれだ。」
「はは。若いね、ドナルド。じゃあ、約束だよ!」
「ああ、いいとこ連れてってやるよ。俺に逆らわなきゃ、いい思いをするって、
メルケルやオランド、イギリスの下院議長とか、見せつけてやるんだ。
メイのやろー、俺の入国禁止令に文句つけたしな、一番最初に会ってやって、
アングロ=サクソン同盟最重視ってとこを見せてやったのに。
シンゾー、日本は二番手、いや三番手以下だったが、これを機に一番にしてやる。」
「うれぴー!」
「古いし、軽いな。ま、俺の言うこと、ちゃんと聞けよ。無理なことがあっても、
俺の顔をつぶすような反対の仕方をするんじゃねーぞ。いいな。」
「そこはもう、礼節を尽くすよ。日本人のたしなみさ!日本のTV界も僕に
礼節を尽くしているよ。」
「よし。じゃあ、俺のフロリダの別荘で、ゴルフも最高のコースでやるぞ。」
「わーい、フロリダでゴルフ、公務でできる、わーい!」
「はは、そういえば俺も公務でゴルフだ。いえーい!」


類は友を呼ぶとはこのことだ。

しかし、日本にはSNLのような番組はないし、やろうと思ってもできはしない。
それが一番悲しいかも。



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Any beer will do? No way!

Buy
Budweiser
!


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The CEOs of Budweiser

And their advertiser

They're far wiser

than 'that' womanizer




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