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蹉跌集め II-19 <完> [小説]

19

MNEMOは帰国歓迎会の後、九十九里・横芝光町の「不動明王御上陸之地」へ
スティックの運転で連れて行ってもらった。

不動明王の像にお参りしてから、明王が遥かを見つめられているその先、
つまりは渡ってきたばかりの太平洋の東の果て、目が見えても見えはしない
サンフランシスコに向き合った。

「McGuinnessさん、ありがとう。そしてお安らかに。」

MNEMOはそう言って、浜風の匂いを惜しみながら狛江へ帰った。



SUBTLYのT2aTの視聴回数は一気にまた増加した。
悠奈もRAJOYも同じチャンネルにPVを載せるという。
清や発見にコメントを読んでもらいながら、MNEMOは勇気づけられたが、
中には心ないコメントもあった。清や発見にはそういうものも跳ばさず読むように
言っておいた。

「Unfathomable.」

MNEMOはそういうコメントの後は必ずそう言った。

木野先生にもチロにも8日夜に挨拶に行ったが、清が言うには雲が空全体を覆い、
オリオンは見えないとのことだった。木野先生もお出ましにはならなかった。


翌12月9日、漱石忌だ。
MNEMOは清に雑司が谷の漱石の墓へ連れて行ってもらった。
17年ぶりのことだった。
日本時間では9日ながら、アメリカ東部では8日であり、Johnの命日だ。
MNEMOは漱石の墓の前でJohnの#9 Dreamを聴いた。
漱石は『夢十夜』、Johnは#9 Dream
どちらも両親の愛に恵まれなかった天才。
特に早くに失った母を慕い続けた。

Took a walk down the street
Through the heat whispered trees
I thought I could hear
Hear
Hear
Hear

Somebody call out my name
As it started to rain
Two spirits dancing so strange


通りを散歩した
暑さの中木々が囁いた
聞こえる気がした
聞こえる
聞こえる
聞こえる

誰かが僕の名を呼ぶ
雨が降り出して
ふたつの魂が奇妙に踊っているんだ


MNEMOにはその「ふたつの魂」の奇妙な踊りが<見えた>。

そのときー



第二部 <完>




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